2013年10月14日月曜日

Anesthesiology 2013 第2日

Perioperative coagulation and coagulopathy

血液凝固第VII因子製剤(ノボセブン)
内因系と外因系の両方に作用する。
メタ解析が3つ行なわれており、死亡率には差なし。
血栓塞栓症のリスクは上げないものの、血栓形成の報告あり。

ダビガトラン
経口的に投与できる。
他の薬物や食物と相互作用なしで、80%が腎からの排泄。
高齢者とか腎機能低下患者などを除けば、モニタリングは推奨されない。

リバロキサバン
rfVIIa か PCC でリバースできる。

抗凝固薬のガイドラインは、ランダム化研究に基づいているわけではなく、レトロスペクティブ・スタディやケースレポート、薬物動態などにも続いて作成されている。
硬膜外カテーテル留置には、薬物の半減期の2倍待つ(25% 未満の薬物が残存)のがいいかもしれない。
----------------------------------------------------------------

Protecting the kidney from perioperative injury

Kidney Attack という言葉がある --- Kellum JA, et al.  JAMA 2012; 307: 2265-6.
術前評価、AKI の予防、早期発見、早期介入が麻酔科の仕事。

Kellum JA, et al.  Crit Care 2013; 17: 204.
KDIGO 分類が載っている。
KDIGO のウェブサイト --- www. kdigo.org

Prowle JR, et al.  Crit Care 2011; 15: R172.
術中の 94% の乏尿は AKI にならない。

Macedo E, et al.  Kidney Int 2011; 80: 760-7.
乏尿が転帰に与える影響について調べた研究。

Molitoris BA.  Crit Care 2013; 17: 181.
sCr と GFR の間の関係について調べた研究。

Coca SG, et al.  Kidney Int 2010; 78: 926-33.
AKI の期間と死亡率の関係について調べた研究。
長ければ長いほど死亡率が上昇する。

Mcllroy DR, et al.  Anesthesiology 2010; 112: 998-1004.
AKI のバイオマーカーについて。
IGFBP7 とか TIMP-2 といった Cell Cycle Arrest のバイオマーカーが脚光を浴びでいる。

Ricksten SE, et al.  Crit Care 2013; 17: 221.
Renal oxygen balance という新しいコンセプト
腎の酸素摂取率をデータとして扱っている。

Redfors B, et al.  Crit Care Med 2010; 38: 1695-701.
心外後の AKI 患者を対象に、Renal VO2 を調べた研究。

利尿薬は転帰に対して有益ではない。
尿量を増やし、肺の水分量は減らすということで、適応は限られる。

Redfors B, et al.  Acta Anaesthesiol Scand 2010; 54: 183-90.
ドパミンは GFR にも VO2 にも影響しない。

フェノルドパムはオンセットとオフセットが早い。
末梢からの投与が可能。
0.05 ug/kg/min で投与。

重炭酸ナトリウムは尿の pH を 6.5 以上にすることを目指している。
"6.5" はマジックナンバーだとのこと。
大規模な RCT が待たれる。
----------------------------------------------------------------
Morbid and ultraobesity
ホームページ --- www.ispcop.org

ヒゲのある患者でマスク換気が難しそうな場合は、顔の上にヒゲごとテガダームを貼り付け、口のところだけ切れ込みをあけてそこから換気をするという技がある。

Kheterpal S, et al.  Anesthesiology 2006; 105: 885-91.
マスク換気を困難にする因子の研究。
ヒゲ、肥満では換気が困難になる。

Shiga T, Anesthesiology 2005; 103: 429-37.
「挿管に関する問題」は、肥満患者で3倍の頻度になる。

BMI は独立した挿管困難の因子ではない。

Safe Apnea Period (Spo2 が90%まで低下するまでの時間)は、頭高位、ビーチチェアポジションで有意に長く伸びる。
さらにランプ・ポジションを組み合わせるといいだろうとのこと。

"Obesity Paradox" という概念についての紹介あり。
BMI はアウトカムに影響しないとか、肥満は死亡率を下げるとか。
痩せている患者よりも、予備能が優れているからかもしれない。
メタボリック症候群を有する肥満患者では術後の死亡率を高めるので、BMI よりもメタボリック症候群の有無の方が重要かもしれない。

合併症を避けるためにオピオイドの投与を避けるのだとすれば、代替手段として種々の神経ブロックとかプレガバリンの前投与など、"multimodal systemic analgesia" を考慮する。

OSAS に関する講演の中でも、鎮痛手段として麻薬を避けるやり方について紹介があった。
ここでもやはり multimodal analgesia を行なうことになるとのこと。

術前に麻薬を投与する "opioid challenge" では、BMI にかかわらず Spo2 が下がる患者もいれば、変化しない患者もいる。

抜管は挿管と同様の体位で行なう。
麻酔をよく覚まして、麻薬は最小限で。

絶飲食時間は非肥満患者と同様。
----------------------------------------------------------------

Challenging cases in Thoracic Anesthesia

声門部での閉塞 HFV Hansaker tube という細いチューブを使って HFV を行なう方法が有用とのこと。

食道内に入れたステントがろう孔を通して気管に落ち込んだ例では、右開胸で摘出術が必要になった。
その際、7.5mm のチューブと 9mm のチューブをスリップジョイント部分でつなげて、手造りのロングチューブを作成したとのこと。

Brodsky JB, et al.  Anesth Analg 2002; 94: 732-6.
肥満手術を受ける患者の 70~90% の患者では OSAS がある。
BMI が大きくなればなるほど、挿管に関する問題が発生するリスクが高くなる。

Ahn HJ, et al.  Anaesth Intensive Care 2012; 40: 780-8.
Protective OLV には利点なし。

抗凝固療法、抗血小板療法を行なっている患者における鎮痛は、エビデンスに基づいたものはない。
抗凝固薬、抗血小板薬以外に注意すべきものとして、Garlic, Gingko, Ginseng といったハーブ類 (Herbals) が挙げられる。

CHADS score に関する紹介あり。

血腫の頻度は硬膜外で 15万分の1、スパイナルで 22万分の1
傍脊椎ブロックはリスクは低いが、解剖学的に硬膜外腔とつながっているのでゼロではない。

リバロキサバンは36時間あける。
新しい抗凝固薬(リバロキサバン、アビキサバン、ダビガトラン)には、適切なモニターの手段が少ない。

0 件のコメント:

コメントを投稿