2013年9月27日金曜日

日本心臓血管麻酔学会第18回学術大会・第1日

日本心臓血管麻酔学会第18回学術大会が小倉で行なわれた。
以下は講演などのメモ書き。
 
マシモ社のランチョンセミナーに出席した。
SpHb は改良されてきているが、低灌流時の測定は難しい。神経ブロックで末梢循環の改善を図ると、真のヘモグロビン値との乖離が改善するという報告あり。
・人工心肺後は原因は明らかではないが、末梢循環の良否にかかわらずSpHbの信頼性が低い。
iSpo2 iPadiphoneなどのアップル社全製品に対応しており、App storeからアプリをダウンロードすればSpo2、脈拍数、PI、脈波形などが測定できる。
10月以降に発売予定。
・データの蓄積と転送ができる。
 
午後は「低侵襲手術と脳脊髄保護」のシンポジウムに出席。
・ステントグラフト内挿術 (TEVAR) ではステントを留置する位置によって、例えばZONE 1とか2に(弓部3分枝にかかるような形で)グラフト末端がランディングする場合は頸部の血管にバイパスが必要となる。
ZONE 3(頸部3分枝以遠)にランディングする場合は脊髄虚血のリスクあり。
・ステントが長いほどあるいは脊髄下部に及ぶほど脊髄虚血のリスクが高まるようだが、弓部付近の短いステントでも下肢マヒが起こることから、対策には自ずから限界がある。
・ノルアドレナリンで血圧を高く保つことが、下肢マヒの予防および治療に役に立つ。
TEVARで対マヒが起こると、死亡率40%
Collateral Network Conceptの文献 --- Ann Surg 2006; 82: 1670-8.
MEPモニタリングでは、上下肢の電位が下がってなおかつ両側性の場合に積極的に脊髄虚血を疑う。
TEVARでは遅発性の対マヒが多い。Collateral Networkの低灌流や塞栓が機序である可能性あり。
・脊髄圧と血圧のコントロールが重要で、ステロイドとナロキソンは議論の余地あり。
・術中にナロキソンを使う時は、レミフェンタニルからケタミンに切り替える。
TAVRではペーシングで心拍数を150200にすることで脈圧を10mmHg以下にする必要がある。
・基本的には手術によるAVR (SAVR)が第一選択で、TAVRをやる場合はtransfemoral、それがだめならtransapicalで行なう。
・局麻でやるという考え方もあるようだが、基本的には全麻が必要。
・径が大きすぎる弁を選ぶと致死的な合併症、小さすぎる弁ではAR、位置がずれると冠動脈閉塞やAV blockが起こる。
 
夕方は近赤外線モニターのイブニングセミナーに出席。
・脳虚血を見つける基準としては局麻下でのCEAのデータが利用されており、rSO2の絶対値で50%以下、相対変化で20%以上の低下としている。
rSO2は体温の影響を受ける。
rSO2の基準値の75%以上をキープすると、臓器障害が軽減する。--- Anesth Analg 2007; 104: 51.
rSO2をコントロールすることでPOCDを軽減するかどうかについては、議論の余地がある。さまざまな報告あり。


 

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