午前、午後と Thoracic Anesthesia 関係のリフレッシャーコースがあり、それぞれ参加してきた。
Jerome Klafta. Strategies for success in one-lung anesthesia.
Edmond Cohen. New developments in thoracic anesthesia.
演者が変わっていないので仕方がないのかもしれないのだが、内容的には2年前のものと変わっておらず、新たな情報はほとんど追加されていなかった。
この5年ぐらいは保護的一側肺換気がはやったり、新たなデバイスが開発されたりして、Thoracic Anesthesia の進歩は著しかったが、とりあえず落ち着いたということなのだろう。
それでも自分のホームページで紹介したかった論文がいくつか紹介されたので、とりあえずそれをここにメモしておくことにする。
リークテストの図がある論文 J Cardiothorac Vasc Anesth 1997; 11: 599.
左気管支が極端に細く、左用 DLT が入らなかった。 J Cardiothorac Vasc Anesth 2002; 16: 260.
ダブルルーメンチューブのサイズ選択には、現時点では合意がみられない。 J Cardiothorac Vasc Anesth 2003; 17: 287.
35-37 Fr のDLT の気管支ルーメンの外径を測ったら、同じサイズのチューブの間でもばらつきが大きく、違うサイズどうしの間での径の重なりが大きい。 Anaesth Intensive Care 2003; 31: 50.
(「盲目的に」という意味だと思うが、)左用 DLT を挿管すると、右気管支に入ってしまう頻度が案外と高い。 J Cardiothorac Vasc Anesth 2003; 17: 289.
DLT の最適な深さを予測するのは困難。 J Cardiothorac Vasc Anesth 2002; 16: 456.
時々しか Thoracic Anesthesia をやらない麻酔科が気道確保をすると、DLT や BB などどのデバイスを用いてもうまくいかないことが多い (38%)。 Anesthesiology 2006; 104: 261.
肺全摘後で気管気管支がある症例の残存肺手術に、BB を2本使って気道確保を行なった。 Anesth Analg 2011; 112: 688-92.
Passive ventilation の概念。非手術側肺に一側肺換気を行なうと、圧変化が伝わるために手術側肺(非手術側肺)が受動的に換気される。 Anaesthesia 1999; 54: 437.
内因性 PEEP の説明に使える図。 Anesthesiology 2004; 101: 1129.
CPAP が一側肺換気中の酸素化を改善することについては約束されている。 Anesthesiology 1981; 55: 381.
Lung isolation は健側の肺を血液や膿から守ることで、この場合はダブルルーメンチューブが必要になる。
Lung separation は手術のために換気を分離することで、この場合は気管支ブロッカーでいいだろう。
Cohen blocker では先端がコントロールできる wheel がついているので、左右どちらの気管支にも楽に入れることができる。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------心臓手術の麻酔のパネルでは、Vasoplegia に関して質問が集中していた。
Vasoplegia の発生頻度は 10% で、on pump で 7%、off pump で 3%。
リスクは術前のヘパリン、ACE-I、βブロッカー、カルシウム拮抗薬、カテコラミンの枯渇、LVEF < 35%、プロタミンの使用、長時間の CPB。
治療は 0.02-0.04 U/min 程度のバゾプレッシン、メチレンブルー。
メチレンブルーは MAO-I であり、脳内のセロトニン分解を阻害し、serotonin syndrome を起こしうる。
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