2013年11月2日土曜日

日本臨床麻酔学会第33回大会 第2日

金沢駅前にある石川県立音楽堂、ANA クラウンプラザホテル金沢、ホテル日航金沢で行なわれている臨床麻酔学会に昨日から参加している。

昨日は朝4時半に起きて8時前の羽田発の飛行機に乗ったので、体力的にはキツかった。
昨日の分はまた後日、載せることにする。

以下は今日の分のメモ書き。
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○周術期管理チームの新たなステップ

Acute Pain Service (APS) は欧米を中心に普及しているが、痛みの評価は必ずしも十分には行われていない。
APS が稼働していてもなお、3割程度の患者は痛みを感じている。
APS はコストがかかるから、やめた方がいいという意見もあり。
日本麻酔科学会では、周術期管理加算(仮称)を獲得すべく、活動している。

APS をすでに立ち上げた施設の麻酔科では・・・
IV-PCA、PCEA のついた患者の回診は1日1回
ボタンの押し方の指導がメイン
PCEA のメニュー 0.25% レボブピバカイン 150ml + 生食 130 ml + フェンタニル 20 ml で 4~6 ml/hr

消化器外科の医師にとっては、NSAIDs の使用は熱型に影響を与えるので好まない。

薬剤師が積極的に APS に関わっている病院では・・・
PCA 用 0.2% アナペイン 288 ml (+/- フェンタニル 6A) --- 院内製剤 4 ml/hr
PCA ポンプの説明は薬剤師が行っている。

専属ナースや麻酔科医などの人材確保のほか、PCA ポンプや専用輸液セットなどのランニング・コストがかかる。
PCA ポンプのリース代が数千万円
管理加算の獲得が望まれる。

下顎枝矢状分割術を対象にした遺伝子多型の研究
遺伝子によって、痛がりの人やオピオイドの効かない人が存在するということ。
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○プレセデックスのランチョンセミナー

副作用として低血圧、徐脈のみならず、高血圧に注意
高血圧は高用量をボーラスで投与すると起こることあり。
1 ug/kg を 10分かけて投与する。 ひきつづき 0.5 ug/kg/hr
オンセットが遅く、回復が遅いのが難点

(6月に添付文書が改訂されたらしく、「全身麻酔に移行する意識下気管支ファイバー挿管に対する本剤の有効性及び安全性は確立されていない」という文言が追加されていた。)
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○専門医が伝えるプロの技4

最近はオピオイドベースの麻酔が多いので、マスクや声門上器具による維持よりもむしろ気管挿管 + 筋弛緩に移行しつつある。
チューブのサイズ選択に迷うようなら、特に腹腔鏡や胸腔鏡手術ではカフ付きチューブを用いる。
ビデオ喉頭鏡があるので、先天奇形による挿管困難も克服できる。
揮発性吸入麻酔薬ベースの麻酔ではバッキングから開眼までは抜管すべきではないとされていたが、オピオイドベースの麻酔では抜管はいつでもいい。

ハロタン時代は emergence agitation (EA) は少なかったが、セボ・デスの時代は多い。
EA は原因不明で、就学前、不安が強い、痛み、眼科・耳鼻科手術がリスク因子。
EA の予防/治療にはミダゾラム、オピオイド、ケタミン、プロポフォール、デクスメデトミジンなど。

新生児では痛みを抑えることが stress response を抑え、予後を改善する。
動物実験の神経毒性をヒトで証明することは難しく、しかも環境の要因も見逃せないことから、吸麻よりも神経毒性が少ないオピオイドがいいのではないか。
肥厚性幽門狭窄症では、術後無呼吸となることがある。

超音波ガイド下の中心静脈カテーテル挿入は小児では賛否両論があり、評価は定まっていない。
小児の場合は椎骨動脈は浅く、内頸静脈の裏に存在することあり。
その他、頸横動脈とか甲状頸動脈が内頸静脈のそばにあることあり。
頸部の中央よりも末梢側での穿刺が安全だろう。

小児での TEE プローブ挿入は、気道に対する影響が大きい。
プローブ先端の位置によっても影響は変わり、奥に進めると影響は小さい。
プローブの種類によっては、体重 5 kg 以下でも使える。
組織酸素飽和度モニターを、腎臓でも応用できる。

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