2014年5月25日日曜日

初めての TBL

以前にも書いたと思うが、今年から医学部医学科の教育が大きく変化した。

その一つが Team based learning (TBL) と呼ばれるもので、チーム基盤型学習と訳されているらしいのだが、学生をグループに分けてディスカッションさせながら正答を導かせるというものである。
すごく目新しい。

救急麻酔ブロックが2週間あり、その後半1週間を麻酔・集中治療で担当したのだが、今回はその1週間に TBL を3個組み込んだ。

そしてその最後の1個を自分で担当したのだが、学務課のサポートを強力に得ることで、初めてであるにもかかわらずなんとか無事に終えることができたという感じだった。

80分のうちのほとんどの時間は学生が個人またはグループで作業しており、教員はひたすら見守るだけなので、エネルギーの消費という観点からは教員は楽なのかもしれない。

ただ、学生の学習のためにはチーム間である程度は答が割れるようなものでないとディスカッションにならないので、テスト問題にはかなり工夫を要するように思った。

あと、学生の答を予見することはできないので、答がどのように割れるかわからないし、こちらから指名した学生がどういう説明をするのかも予測できないので、授業がどのように進むかがわからない点も難しく感じた。

なので、自分が初めて経験した TBL をまとめると、テスト問題というかディスカッションのもととなる教材作りがほとんど全てで、あとはディスカッションをうまく進める教員の人間力が問われるように思った。

もちろん、学務課のサポートも不可欠である。
教室と学務課の間を行ったり来たりしながら、マークシートの採点を時間内にすばやく済ませたり、答を示す掲示板を準備したりするなど、強力なサポートで心強かった。

2014年5月21日水曜日

ダブルヘッダー

例年、麻酔科の医学部医学科の講義は夏から秋にかけて1週間に数コマの割合で行なわれるのだが、今年からカリキュラムが変更され、今週1週間に救急麻酔ブロックの一部として麻酔科の講義が詰め込まれている。

それで例年だと1日に2コマも講義をすることなんてなかったのだが、そういう事情のために今日は80分の講義を2コマもしてしまった。

今までの1日での講義時間の最高が 90分1コマだったので、大幅に自己新記録を打ち立てたということになる。
なんかとても疲れてしまって、もうこれ以上しゃべりたくなく、英会話教室はサボってしまった。

以前、医療従事者相手にぶっ続けに4時間講義するアルバイトの話があったのだが、引き受けなくて良かった。
のどが強い方ではないので、このぐらいが限界なのだと思う。

でも、小学校とか中学校の先生たちはもっとしゃべっているはずだし、時にはどなり声をあげたりもするわけで、自分にはとうてい勤まりそうもないように感じる。

2014年5月20日火曜日

セミナー申し込み受付開始

東京麻酔専門医会関連のお知らせがいくつかあります。

1) 今日から、東京麻酔専門医会リフレッシャーコースセミナーの申し込みの受付が始まりました。
お申し込みはホームページからお願いします。
東京麻酔専門医会会員と非会員とでは、申し込み方法が少し違うのでご注意下さい

2) 同時開催されるハンズオンの申し込みの受付が、明日正午より始まります。
こちらはソノサイトのホームページから申し込んで下さい。

3) 平成26年度東京麻酔専門医会総会に続いて学術講演会が、6月14日(土) 14時より昭和大学医学部付属看護専門学校で行われます。
詳細はこちらをごらん下さい。

2014年5月16日金曜日

日本麻酔科学会 学術総会 第2日

自分の研究の発表を T 先生にやってもらったが、無事に終わってほっとした。
彼女の緊張がこっちにも伝わってきて、自分も心臓がバクバクしてしまった。

以下は今日のメモ書き。

機械的刺激は、アンギオテンシンⅡ受容体を介して心筋肥大を惹起する。
圧負荷はアンギオテンシンⅡ非依存性に、アンギオテンシン受容体を介して心肥大を惹起する。

esCCO という新しい CO モニタリング
心電図の R 波から末梢の Spo2 測定部位に脈波が伝わるまでの時間(脈波伝播時間 PWTT)から CO を求める
・ 校正が必要
・ ヨーロッパでは使われているが、日本ではまだ薬事が通っていない
・ 体位変換による影響あり
・ 不整脈や電メスのアーチファクトに弱く、数字が出なくなってしまう

Surviving Sepsis Campaign のガイドラインによると、乳酸値 > 4 で初期治療を開始する。
組織低酸素と関係のない高乳酸血症がある。
Lactate Shuttle という概念 --- エネルギーを産生する上で合目的的な乳酸産生と考える

ICU 症候群という名前を見直す機運が高まった。
「ICU せん妄」 は患者予後を悪化させる独立因子

Pain, Agitation, Delirium の管理法 --- PAD ガイドライン
・ 全ての重症患者には痛みがある、と考える
・ 鎮静深度の評価が重要 → 使う時はベンゾジアゼピン系以外で
・ せん妄の評価には CAM-ICU または ICDSC

2014年5月15日木曜日

日本麻酔科学会 学術集会 第1日

日本麻酔科学会第61回学術集会が横浜で行なわれた。
以下は、今日のプログラムのメモ書き。

OSA 患者の咽頭気道は解剖学的に閉塞しやすい。
これは、骨構造物の大きさとその中の軟部組織量のアンバランスによる。

覚醒時には、咽頭拡大筋の働きによって気道を開通させている。
残存麻酔薬、筋弛緩により、咽頭気道拡大筋の働きが抑制される。

咽頭閉塞性の肺容量依存性は、特に肥満患者で顕著である。
→ BMI の高い患者ほど、肺容量を保つことが重要である。

NPPV の効果
舌根沈下、肺胞虚脱、低肺コンプライアンスには PEEP が効きそう。
低1回換気長に対しては PS が効く。

NPPV は自発呼吸があることが前提となるが、一時的なマスクでの強制換気に用いることもある。

High Flow Oxygen Therapy (HFOT) は、酸素療法と NPPV の間に位置づけられる。

加温加湿した高流量ガスを鼻腔カヌラから投与する酸素療法。
最大流量 60 L/分で、吸気流量を超える設定なら FIo2 が安定する。

RCT のデータが欠けている。
長期使用の安全性はまだわからない。
あきらめて NPPV に進むべきタイミングも明らかではない。

帝切後には、一般の手術の痛みに後陣痛の痛みが加わる。
これには NSAIDs が有効だとされている。

産褥期の脊髄くも膜下麻酔の局麻量は帝切時より多いが、非妊時よりは少ない。
妊娠により亢進していたオピオイドの感受性は、産後 24~48 時間で非妊時に戻る。

フェンタニルの乳汁への移行は無視しうる。
モルヒネの慢性使用者の乳汁では、思いがけない高濃度になりうるが、児に異常行動が見られることはない。

NSAIDs メロキシカム、メフェナミク酸は乳汁移行の点から勧められない。
授乳中のメペリジン、コデイン、トラマドールは勧められない。

くも膜下モルヒネの至適投与量は 100~150 μg
硬膜外モルヒネは 2~3 mg 程度

2014年5月11日日曜日

シティドレッシング

大型屋外広告物を掲出して街全体を装飾することを「シティドレッシング」というらしいのだが、つい先日、大学から日本サッカー協会のシティドレッシングに協力することになったというメールを受け取った。

それで今日来てみたら、大学の研究棟がこんな風になっていた。

麻酔科の居室はこの巨大な香川や本田よりも上なのだが、ちょうどその階にあたるところでは、窓が肌色だったり茶髪の色だったりするのだろうか??

どうでもいいことだが、ちょっと気になる。

2014年5月1日木曜日

全室で McGrath

「とある病院」に行ったら、全てのオペ室に McGrath 喉頭鏡が置いてあった。
ついこの前まで McGrath 喉頭鏡が2台しかなく、しかもブレードが欠品だったために超貴重品扱いだったのに・・・。

全ての部屋でいつでも McGrath 喉頭鏡が使えるような環境が整うと、そのうちマッキントッシュ喉頭鏡を使ったことがない麻酔科医が現れるようになるのだろうか。

「ほら、こうやると口の中から声門が見えるんだよ」なんて、語る日も遠くないかもしれない。