2013年10月30日水曜日

くちびる、はさまれた

歯の詰め物がとれてしまったので、急遽、歯医者に行ってきた。
もともと銀色の金属が詰めてあったのだが、今回は樹脂状のものを詰められ、歯の色に近づいたように感じる。

その処置をするために歯医者が指を口に突っ込んでいる最中に、歯医者の指と歯でくちびるがはさまるということがあった。
あたりまえだが、これがものすごく痛かった。

胃管を挿入する時に自分の指と患者の歯で患者のくちびるがはさまることがあるのだが、まさにこれに相当するわけで、もっともっと優しくしないといけないと、いまさらながら感じてしまった。

2013年10月16日水曜日

無事、帰国しました

台風が関東を直撃するタイミングと成田空港の着陸が重なる可能性があったので、どうなることかと思ったが、出発がものすごく遅れるということもなく、何とか無事に帰ってこれた。

ただ、成田空港自体が閉鎖していた時期があったということもあり、滑走路やゲートはひどく混み合っていて、着陸の順番待ちやゲートが空くのを待ったりしたので、結局約2時間遅れの到着となった。

電車もかなり混乱していたが、行きは動いていなかったスカイアクセスは今度はちゃんと動いていたので、まあその点は助かった。

しかし成田空港には人があふれていて、成田エクスプレスや京成線に乗るつもりだった人や乗り継ぎ便を逃した人がたくさんいたわけで、これから遠くへ帰る人たちは本当にたいへんだと思う。

2013年10月15日火曜日

Anesthesiology 2013 第3日

ようやく第3日にして、発表の順番がめぐってきた。
国際学会が初めての S 先生が担当してくれたのだが、ポスターに没頭することなく、原稿に目を落としっぱなしにするでもなく、適当にアイコンタクトを混ぜてうまくできたように感じる。

今日気がついたのは、オッズ比が1近辺の時は小数点以下のデータも詳しく示さないと、1をまたいでいるという誤解を受けてしまうということだ。
そもそも多変量解析が何かということがわかっていなさそうな人からの質問だったので、答えるのにも苦慮してしまった。

いよいよ明日帰国なのだが、ちょうど関東地方に台風が直撃するタイミングでの到着となりそうだ。
現時点では飛行機は予定通りに出発することになっているのだが、帰国が先延ばしにならないことを祈るばかり。

2013年10月14日月曜日

Anesthesiology 2013 第2日

Perioperative coagulation and coagulopathy

血液凝固第VII因子製剤(ノボセブン)
内因系と外因系の両方に作用する。
メタ解析が3つ行なわれており、死亡率には差なし。
血栓塞栓症のリスクは上げないものの、血栓形成の報告あり。

ダビガトラン
経口的に投与できる。
他の薬物や食物と相互作用なしで、80%が腎からの排泄。
高齢者とか腎機能低下患者などを除けば、モニタリングは推奨されない。

リバロキサバン
rfVIIa か PCC でリバースできる。

抗凝固薬のガイドラインは、ランダム化研究に基づいているわけではなく、レトロスペクティブ・スタディやケースレポート、薬物動態などにも続いて作成されている。
硬膜外カテーテル留置には、薬物の半減期の2倍待つ(25% 未満の薬物が残存)のがいいかもしれない。
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Protecting the kidney from perioperative injury

Kidney Attack という言葉がある --- Kellum JA, et al.  JAMA 2012; 307: 2265-6.
術前評価、AKI の予防、早期発見、早期介入が麻酔科の仕事。

Kellum JA, et al.  Crit Care 2013; 17: 204.
KDIGO 分類が載っている。
KDIGO のウェブサイト --- www. kdigo.org

Prowle JR, et al.  Crit Care 2011; 15: R172.
術中の 94% の乏尿は AKI にならない。

Macedo E, et al.  Kidney Int 2011; 80: 760-7.
乏尿が転帰に与える影響について調べた研究。

Molitoris BA.  Crit Care 2013; 17: 181.
sCr と GFR の間の関係について調べた研究。

Coca SG, et al.  Kidney Int 2010; 78: 926-33.
AKI の期間と死亡率の関係について調べた研究。
長ければ長いほど死亡率が上昇する。

Mcllroy DR, et al.  Anesthesiology 2010; 112: 998-1004.
AKI のバイオマーカーについて。
IGFBP7 とか TIMP-2 といった Cell Cycle Arrest のバイオマーカーが脚光を浴びでいる。

Ricksten SE, et al.  Crit Care 2013; 17: 221.
Renal oxygen balance という新しいコンセプト
腎の酸素摂取率をデータとして扱っている。

Redfors B, et al.  Crit Care Med 2010; 38: 1695-701.
心外後の AKI 患者を対象に、Renal VO2 を調べた研究。

利尿薬は転帰に対して有益ではない。
尿量を増やし、肺の水分量は減らすということで、適応は限られる。

Redfors B, et al.  Acta Anaesthesiol Scand 2010; 54: 183-90.
ドパミンは GFR にも VO2 にも影響しない。

フェノルドパムはオンセットとオフセットが早い。
末梢からの投与が可能。
0.05 ug/kg/min で投与。

重炭酸ナトリウムは尿の pH を 6.5 以上にすることを目指している。
"6.5" はマジックナンバーだとのこと。
大規模な RCT が待たれる。
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Morbid and ultraobesity
ホームページ --- www.ispcop.org

ヒゲのある患者でマスク換気が難しそうな場合は、顔の上にヒゲごとテガダームを貼り付け、口のところだけ切れ込みをあけてそこから換気をするという技がある。

Kheterpal S, et al.  Anesthesiology 2006; 105: 885-91.
マスク換気を困難にする因子の研究。
ヒゲ、肥満では換気が困難になる。

Shiga T, Anesthesiology 2005; 103: 429-37.
「挿管に関する問題」は、肥満患者で3倍の頻度になる。

BMI は独立した挿管困難の因子ではない。

Safe Apnea Period (Spo2 が90%まで低下するまでの時間)は、頭高位、ビーチチェアポジションで有意に長く伸びる。
さらにランプ・ポジションを組み合わせるといいだろうとのこと。

"Obesity Paradox" という概念についての紹介あり。
BMI はアウトカムに影響しないとか、肥満は死亡率を下げるとか。
痩せている患者よりも、予備能が優れているからかもしれない。
メタボリック症候群を有する肥満患者では術後の死亡率を高めるので、BMI よりもメタボリック症候群の有無の方が重要かもしれない。

合併症を避けるためにオピオイドの投与を避けるのだとすれば、代替手段として種々の神経ブロックとかプレガバリンの前投与など、"multimodal systemic analgesia" を考慮する。

OSAS に関する講演の中でも、鎮痛手段として麻薬を避けるやり方について紹介があった。
ここでもやはり multimodal analgesia を行なうことになるとのこと。

術前に麻薬を投与する "opioid challenge" では、BMI にかかわらず Spo2 が下がる患者もいれば、変化しない患者もいる。

抜管は挿管と同様の体位で行なう。
麻酔をよく覚まして、麻薬は最小限で。

絶飲食時間は非肥満患者と同様。
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Challenging cases in Thoracic Anesthesia

声門部での閉塞 HFV Hansaker tube という細いチューブを使って HFV を行なう方法が有用とのこと。

食道内に入れたステントがろう孔を通して気管に落ち込んだ例では、右開胸で摘出術が必要になった。
その際、7.5mm のチューブと 9mm のチューブをスリップジョイント部分でつなげて、手造りのロングチューブを作成したとのこと。

Brodsky JB, et al.  Anesth Analg 2002; 94: 732-6.
肥満手術を受ける患者の 70~90% の患者では OSAS がある。
BMI が大きくなればなるほど、挿管に関する問題が発生するリスクが高くなる。

Ahn HJ, et al.  Anaesth Intensive Care 2012; 40: 780-8.
Protective OLV には利点なし。

抗凝固療法、抗血小板療法を行なっている患者における鎮痛は、エビデンスに基づいたものはない。
抗凝固薬、抗血小板薬以外に注意すべきものとして、Garlic, Gingko, Ginseng といったハーブ類 (Herbals) が挙げられる。

CHADS score に関する紹介あり。

血腫の頻度は硬膜外で 15万分の1、スパイナルで 22万分の1
傍脊椎ブロックはリスクは低いが、解剖学的に硬膜外腔とつながっているのでゼロではない。

リバロキサバンは36時間あける。
新しい抗凝固薬(リバロキサバン、アビキサバン、ダビガトラン)には、適切なモニターの手段が少ない。

2013年10月13日日曜日

Anesthesiology 2013 第1日

エアコンがなくてアメニティが乏しい、とんでもない安宿に泊まってしまったと昨日は後悔したが、寝心地だけはとても良くて、10時間近く爆睡してしまった。
ホテルの従業員もとてもフレンドリーで、そういう点は良かった。

なので午前中の Y 先生の発表は見逃してしまい、かろうじて S 先生の発表には間にあった。
ポスターディスカッションのセッションは、正面のディスプレーが小さすぎて、発表者がいかにも不自由しているという感じだった。
慣れている人は見せたいところを拡大したりしていいのだろうが、大半の人は慣れていない様子だった。

以下はリフレッシャーコースのメモ書き。
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Understanding clinical hemodynamics

拡張不全および拡張型心筋症の場合のスターリングカーブのパターンを知ったので、図に再現して載せておいた。
右房圧と静脈灌流の関係を示す図と重ね合わせることによって、CO と CVP の位置を視覚的に理解することができる。

Auto PEEP や hypovolemia ではこれらの2本の線がどう動くかということも示していたが、図で説明されると理解が進むように感じる。
また、PVP (peripheral venous pressure) = CVP + 2 という式があるそうで、末梢静脈圧を測ることで CVP を推測できるらしい。
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Perioperative glycemic management: Anesthesiologist's manual

患者自身が糖尿病だと知らずに手術を受ける患者が多いので、血糖が高いままオペを受けるケースが多い。

非心臓手術および心臓手術で手術前の血糖値が高いと、長期の転帰が悪化する。

手術をキャンセルすべき血糖値の閾値については確固たるエビデンスがないが、血糖値が 350 mg/dl 以上、あるいはケトアシドーシスまたは高浸透圧状態で手術を進めることで、リスクを伴う可能性がある。

血糖値の術中の変化は、糖尿病でも非糖尿病でも似ている。
術中にデキサメタゾンを投与した場合の血糖値変化のデータあり。血糖値の反応は小さい。
Anesth Analg 2013; 116: 1116-22.

DeLit Trial についての元論文→   Abdelmalak B, et al.  Can J Anesth 2011; 58: 606-16.

タイトな血糖コントロールは低血糖のリスクが高い。
140~180 が安全そうで良さそうだが、一部の患者や状態では 110~140 が有益である。

インスリン静注のやり方
血糖値 180~200 ボーラス量は 2U 持続投与では 2U/hr で 30分後に再検
同様に
血糖値 201~250 ボーラス量は 3U 持続投与では 3U/hr で 30分後に再検
血糖値 251~300 ボーラス量は 4U 持続投与では 4U/hr で 30分後に再検
血糖値 301~350 ボーラス量は 6U 持続投与では 6U/hr で 30分後に再検
血糖値 > 351 ボーラス量は 7U 持続投与では 8U/hr で 30分後に再検

インスリンポンプを有する患者の管理法については、
Abdelmalak B, et al.  Current Pharmatheutical Design 2012; 18: 620-14 を参照。
 

2013年10月12日土曜日

サンフランシスコに着きました!

成田に向かう時にアクセス特急が動かなくなるといったトラブルはあったが、船橋回りで何とか成田空港へ着くことができ、無事にフライトに間に合うことができた。

サンフランシスコは風が強いためか思ったより寒かった。
会場 (Moscone Convention Center) でregistration の手続きを済ませ、ちょっと周囲を散策したものの、夕方は早々に引き揚げて来てしまった。

買い出しの時に偶然、バンクーバーで散々お世話になった SAFEWAY を見つけ、すごくなつかしい感じがした。
でもカナダとは違って6個入りのマフィンは売っておらず、9個入り5ドルの巨大版を手に入れた。

これでとりあえず、朝メシには困らない。

2013年10月8日火曜日

あるけどない

依頼された原稿を書くために「たっちゃんをさがせ」で文献を検索したところ、「臨床麻酔」と「麻酔」に都合のいい論文がいくつかあることに気がついた。

で、オペ室にある本棚を探してみたのだが、そういう必要なのに限って紛失している。
自分にとってどうでもいいのは、いつまでもなくならないのに・・・。

ついでながら、図書館に返納した「臨床麻酔」と「麻酔」についてもいくつかさがしたのだが、やはり必要なのに限って「欠」となっていた。
腹立たしいことこの上ないが、優しい図書館の司書さんみたいな人が、よその大学のをコピーしてくれると言うので、とりあえず納得(?)することにする。

2013年10月5日土曜日

PubMed がんばってる

アメリカ議会が予算案を通過させることができなかったために、自由の女神像の観光にも影響が出ていると、連日、テレビで報道されている。

PubMed も例外ではなく影響を受けているらしく、PubMed のウェブサイトには「最小の人数でできる限りのことはやってる」みたいなことが書いてある。

それで情報のアップデートもままならないだろうと思っていたのだが、毎週土曜日に設定しているメールでの最新情報のお知らせが今週もきちんとやってきて、PubMed が意外とがんばってる(?)と妙なところで感心してしまった。