2014年10月12日日曜日

ASA 第1日 --- ニューオリンズに着きました

アメリカン航空の大幅な遅れのためにホテル日航成田での一泊を余儀なくされ、結局、翌朝9時に成田空港を発った。

空港の職員に「前の日のチケットでは入れません」みたいなことを言われて困ったが、アメリカン航空の「チケットの日付を変えることはできない」みたいな主張が勝ち、結局は前日のチケットのまま搭乗することとなった。

臨時便はガラガラで、客はわずか50人しかいなかったようだ。
まだ夜が明けきらないうちにダラスに着き、ニューオリンズのホテルに着いたのが現地の午前11時ごろ。
ニューオリンズは思ったよりずっと暑く、真夏のような恰好をした観光客が目立つ。

以下は、トロント大学・スリンガー教授による肺保護換気に関するリフレッシャーコース "Perioperative lung protective strategies in one-lung and two-lung ventilation" のメモ書き。
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2000年代の初頭までは、PEEP なしの大きい一回換気量を用いて一側肺換気が行なわれていた。
その根拠となるものとして、一側肺換気中の PEEP の有無と一回換気量の大小をくらべると、PEEP なしの一回換気量 14 ml/kg の時が最も Pao2 が高い。 (Katz JA, et al.  Anesthesiology 1982; 56: 164-71.)

PPPE が生じると術者に輸液量が多すぎると批判されることになりがちだが、PPPE のリスク因子について調べた研究によると、輸液量や輸液バランスは PPPE 発生群と非発生群の間で差がなかった。 (Turnage WS, et al.  Chest 1993; 103: 1646-50.)

換気するたびに肺胞が開いたり閉じたりするのは、炎症反応の点から良くないことが示されている。単にアテレクの状態が続いた方がまだまし。 (Chu EK, et al.  Crit Care Med 2004; 32: 168-74.)

一側肺換気は換気側肺だけでなく、非換気側肺にも傷害をもたらしうる。 (Kozian A, et al.  Br J Anaesth 2008; 100: 549-59.)

開胸術後に換気側肺に強い非対称性の ARDS が生じるという報告。 (Padley SP, et al.  Radiology 2002; 223: 468-73.)

手術側肺は虚脱したままより、CPAP を行なった方が炎症反応の点から良い。もっとも手術を行なう上でじゃまになってしまうが。 (Verhage RJ, et al.  Br J Anaesth 2014; 112: 920-8.)

開胸手術後の肺傷害を予防する点では輸液はしぼった方がいいが、腎機能を傷害しうるという問題がつねにつきまとう。古典的な研究という意味で Gollege らの研究 (Ann Thorac Surg 1994; 58: 524-8.) が、新しい研究という意味で自分の研究が紹介されていた。

その他、スリンガー教授は小さい一回換気量と PEEP では、PEEP の方が肺保護への寄与の度合いが大きそうだという持論を展開していた。PEEP をかけていれば、一回換気量が大きくても小さくても、あまり関係ない。

さらにスターリングの式が修正されたこと、グリコカリックスについても話していた。グリコカリックスは虚血再灌流や炎症反応で傷害される。

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