2014年10月13日月曜日

ASA 第2日 --- 外は暑いが中は寒い

ニューオリンズは1日のうちで時々雨が降るのだが、基本的には晴天で暑いぐらいだ。
一方、学会場の中は寒く感じるぐらいに冷え込んでおり、ジャケットを着ていてちょうどいいぐらいで、電気がもったいないという気がしてしまう。

ASA では RCL やパネルセッションのほかに Point-Counterpoint という pros-cons セッションがいくつかあり、今日は HES に関するものを見に行ってきた。

"Perioperative colloid administration - Should it be abandoned?" というタイトルだったが、HES 反対派が NEJM などのデータを紹介しつつ HES の危険性を訴え、賛成派が危険性の根拠となる研究のデザインや統計手法の問題点を指摘するといった予想通りの展開で、消化不良だったように感じられた。
聴衆の一人が主張していたが、本当のところ危険なのかどうか、凝固障害や腎傷害の機序の面から深く討論してほしかったように感じる。

ASA の Choose wisely campaign のひとつに「コロイドをルーチンで投与するのはやめよう」というのがあるらしいのだが、そういうキャンペーンがあるということを知ったのは有益だった。

一方、心不全患者の周術期管理に関するパネルセッションは、自分のよく知らない領域だけに学ぶところが多かった。

特にこの分野で UpToDate に執筆していると言っていたスピーカーの話は、ARB の術前中止の議論など、当たり前だが UpToDate に載っていることがそのまま出てきておもしろかった。
このスピーカーによると、「低血圧がなければ ARB は術前は続けた方がいい」という論調だった。

また、心不全患者における周術期のリスクが過小評価されているということについても、一貫して主張していた。

さまざまな非心臓手術の術式において 30 日死亡率などのアウトカムを比較すると、冠動脈疾患患者よりも心不全患者の方が悪い。 (Hammill BG, et al.  Anesthesiology 2008; 108: 559-67.)

肺高血圧患者の循環管理のポイント
1) 冠灌流を保ち右室の虚血を避けるために、末梢血管抵抗を保つ。
2) 肺血管抵抗の上昇を最小限にする。 --- 吸入薬など選択性のある肺血管拡張薬を用いる
3) 右室の前負荷と収縮力を保つ。
4) 右室のモニターを用いる。

LVAD を有する患者の循環管理のポイント
1) リズムと心拍数を保つ。
2) 右心機能が保たれていることを確認する。
3) 末梢血管抵抗が大きく変化しないようにする。
4) 前負荷を保つ。前負荷低下はトラブルのもと。
5) 血管収縮薬と強心薬を用いる。
6) カニューレがずれるので、心マをしてはいけない。

0 件のコメント:

コメントを投稿