JA シンポジウム 「気道トラブルの予見、準備、発生時対応」は、最終日午前中にもかかわらず、広い会場がほぼいっぱいになるくらい盛況だった。
講演の中で紹介された論文を参考にしつつ、メモ書きを残しておく。
(講演内容を正確に記録しているという意味ではなく、あくまでも自分のメモ書き。)
「予見」は、主に OSA 患者をいかに見つけるかということに関するもの。
Kheterpal S, et al. Anesthesiology 2009; 110: 891-7.
マスク換気困難の頻度は 0.15%。マスク換気困難の独立した予測因子は頸部への放射線治療、男性、OSA、マランパチスコア III と IV、あごひげ。
Tsuiki S, et al. Anesthesiology 2008; 108: 1009-15.
OSA 患者ではまわりの骨の成分にくらべて、舌が大きい。また、舌骨が低位であれば、OSA のリスクが高い。
Nuckton TJ, et al. Sleep 2006; 29: 903-8.
マランパチスコアは OSA の有無および重篤度のリスク因子。スコアが1点増えると、OSA のリスクは2倍以上で AHI は5以上増える。
Isono S, et al. Anesthesiology 2005; 103: 489-94.
Neutral neck position にくらべて sniffing position にした方が、気道の開通が良くなり咽頭閉塞圧が低下する。
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英国の気道換気に関する報告 "Major complications of airway management in the UK" に基づいた講演。
この報告については "NAP4" でグーグル検索可能だという話だったが、確かにヒットした。
年間 290 万人についての前向き調査。
これによると重篤な気道合併症は 133 例発生したとのこと。(22,000 人に1人の割合)
原因としては誤嚥が多い。
この時に使われた気道確保道具で最も多かったのは、声門上器具。
声門上器具が挿入困難な症例では、挿管困難やマスク換気困難を伴う。
Asai T. Anaesthesia 1996; 51: 1063-5.
Ramachandran SK, et al. Anesthesiology 2012; 116: 1217-26.
LMA Unique の抜去および気管挿管が必要になった気道系のイベントのリスク因子は、手術台のローテーション、男性、poor dentition、高い BMI。
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発生時の対応については、耳鼻科の先生から経皮的気管切開法(Blue Rhino 法)の話。
経皮的気管切開法は緊急の場合に気道確保が行なうことができる便利なデバイスだという認識だったが、実は緊急気道確保は禁忌項目の一つに挙げられているとのこと。
経喉頭的に気管挿管がされていることが条件なのだそうだ。
理論的は禁忌なのだが、救急や ICU ではやはり緊急用に使用することを念頭に置いているらしい。
気管挿管されている患者でこれを行なう時は、気管チューブを引き上げ、チューブの内側から内視鏡で第1-2気管輪間または第2-3気管輪間を確認する。
最初に盛り上がって見えるのが第1気管輪。
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