2012年11月2日金曜日

日本臨床麻酔学会第32回大会 第2日

もう10年以上も臨床麻酔学会には行っていなかったように思うのだが、同僚の K 先生が症例報告の演題を出したので、日帰りで郡山まで出かけてきた。
家を出た時はとても暖かく、コートを着て出かけたことを後悔したが、郡山は一足先に冬に入ったみたいで、けっこう肌寒かった。
 
K 先生が発表した「徹底討論」はせまい部屋で行なわれたため、すごく混んでいた。
内容としてはつっこみどころがないわけではなかったが、特に厳しい批判やコメントはなく、まあ無事終了。
S 先生の発表でものすごく議論が盛り上がった直後だったので、目立つことがなく終わったような感じもする。
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昼はオノアクトのランチョンセミナーに参加した。
以下に、講演の中で紹介された研究の一部について、メモ書きを残しておく。

Fujiwara H, et al.  Gen Thorac Cardiovasc Surg 2009; 57: 132-7. (PMID: 19280308)
周術期の低用量ランジオロール投与によって、CABG 後の心房細動の発生頻度が低下した。

Sezai A, et al.  J Thorac Cardiovasc Surg 2011; 141: 1478-87. (PMID: 21269646)
ランジオロール投与によって、CABG 術後1週間の心房細動の発生頻度が減少した。

Park H, et al.  Int J Cardiol  [Epub ahead of print] (PMID: 22608892)
予定 PCI の患者でランジオロールを冠動脈内投与に続いて持続静注を行なうと、心筋傷害の頻度および重症度が低下する。

Sakamoto A, et al.  Circ J 2012; 76: 1097-101. (PMID: 22361918)
開胸術後の心房細動に対して、ランジオロールはジルチアゼムよりも安全で効果的だった。

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午後は周術期栄養管理のシンポジウム。
以下はその時のメモ書き。

周術期栄養管理のガイドラインには、ASPEN、ESPEN、JESPEN がある。
JESPEN は日本のガイドライン。
ESPEN のガイドラインによると、「適応のある患者では、手術を遅らせてでも『栄養管理』を行なう」ものなのだそうだ。

谷口先生の話のポイントとしては、
① 絶飲食時間を短くする
② Overfeeding はよくない ← 外から栄養を補おうとしても、術直後は異化が進む
③ 高血糖はよくない
④ 人工栄養はなるべく避ける
⑤ 腸が使える時は使う

日本麻酔科学会の術前絶飲食ガイドラインによると、清澄水は2時間前まで。
固形物に関しては示されていない。
http://www.anesth.or.jp/guide/pdf/guideline_zetsuinshoku.pdf

麻酔科医は栄養管理には縁遠いようだが、知らず知らずのうちに関わっているものらしい。
術前の炭水化物飲料または術中の1%ブドウ糖添加酢酸リンゲル液を使用することで、脂肪・タンパク異化を抑制できる。
1%糖輸液は日本にしかない。

白石先生によると、2型糖尿病は手術で治るとのこと。

経口補水のアウトカムへの影響については、はっきりしていない。
インスリン抵抗性に与える影響に関するエビデンスは不明。
患者の満足度を上げることぐらいらしいが、それがとても大事なような気もする。
 

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